トロンレガシー

 往年の名作(迷作?)から28年を経て、最新CG技術で蘇った本作だがなんとも悲しい興行成績だった。前作が世界初のコンピュータグラフィックスをメインにした、そして間に合わないところは手描きのマスクで透過光処理という膨大な手間とアイデアで作られていたのに対し、あまりにも秀でた所が無い。立体視に対応したり、IMAXにしてみたり、様々な新規要素を加えてみたものの、どれも活かされていない。
 立体視に関しては、コンピュータ内部に侵入してからは人物以外はほとんど合成なので、立体の調整は有利なはずだが、対比する物が無い為に位置情報が感覚的につかめない。本作はリアル世界では2D、コンピュータ世界では3Dという使い分けされているのだが、2Dのアクションシーンの方が奥行きを感じる(ビル屋上からの眺めは特に)のはどうした物か。終盤、立体視場面で序盤と同様のアクションシーンが対比のように存在するのだが、まったくイケてない。CG技術的には物の壊れ方に力を入れたらしいが、ソコジャナイCG!だよ。
 またストーリーに関しても内容が薄く、アクションシーンを2つ程消化したあとはこの世界からの脱出というシークエンスしか無い。親子のつながりやコンピュータ世界の広がりなど、使えそうな素材はあるがほとんどノーアイデアである。
 面白そうなパーツはそこここにあるのだが、本当にもったいない。