越えられない壁

スター・ウォーズを好き、と言う人でも、EP1からEP3のプリクエル・トリロジー派と、EP4からEP6のクラシック・トリロジー派に分かれている。最近ファンになった人はEP1から見ている層なので、EP4からの古くさい特撮に愕然とするだろう。昔からのファンからするとEP1からのSense of Wonderの欠如にガッカリする部分もあるだろう。一応自分自身は、双方のトリロジーを肯定する立場を取っているので細かいところを愚痴愚痴言いたくないのだが、二律背反を抱えたまま困った時にはこう言う事に決めている。


だってリック・マッカラムが無能なんだからしょうがないじゃないか!


だいたいの場合、これで大丈夫である。
リック・マッカラムと言うのは1997年のスター・ウォーズ特別編からルーカスの片腕として引っ付いているプロデューサーである。特別編の改変部分が納得いかないのも、EP1からEP3までのデザインがダサイのも、100話も作ると言っている実写ドラマが完成しないのも、全部マッカラムの仕業だと思えば合点がいく。それが証拠に、全然アナウンスしてなかったCG版のクローンウォーズはきちんと出来上がって、現在第2シーズン放映中である。デザインも納得の行く仕上がりになっている。


EP1からのデザイン担当のダグチャンの無能ぶりは散々言われている事だが、クローンウォーズでその欠点が直されて、更に無能ぶりが強調されて晒されるとは、マッカラムも思わなかったであろう。他にもシナリオが整理出来ずに撮影が始まって、結果呎が足りなくなって急遽アクションシーンが撮り足しになったEP2とか、CG戦闘シーンの迫力を見せつけながらスターウォーズ銀河の物理現象に疑問を抱かせるEP3のオープニングシークエンスとか、EP2になっていきなりジェダイの跳躍力(アナキンだけか?)が異常進化して、EP1のラストアクションとの整合性が無くなるとか、全部マッカラムがいい加減なせいなのだ。新作公開で来日してインタビューに答える度に適当な事ふかして帰るマッカラムである。そう言う意味では整合性がとれている。


前にも書いたかも知れないが、クローンウォーズが始まって一番の改良点はジェダイファイターのR2ユニットの位置である。

そもそもあのサイズ(EP2公開時に展示されていた木製の実物モデルを見たけどホント小さい)で、ワープこそ出来ないけれど、惑星間を往来出来るのもどうかと思うが(そもそもハイパードライブ・リングの設定自体、制作後半に突如出来たらしいから、ダグチャンの頭ではあれで惑星間自由に移動出来たんだよね)、デザイン的に納得出来ないのは空力とか科学技術(勿論地球のそれとは違うにしても)とかダグチャンの中には統一された理屈が存在しないんだよね。宇宙飛ぶんだから空力とか関係無いじゃん?と思うかもしれないが、少なくともEP5でスノースピーダーは後方のエルロンを上下させて空気の制動を活かしていた。そもそもデルタ型Δ自体が空気制動を考慮したデザインだろうに、その空力を邪魔するようなR2ユニットの位置。


適当なマッカラムが選んだ適当なダグチャンらしいデザイン、かくあるべし


クローンウォーズのプロデューサー、キャサリン・ワインダーは日本のアニメーションに影響を受けた他に実績の無いルーカスアニメーションのプロデューサーである。それが良い方向に転がったとしか思えない。若い才能が作り上げたのは最初のスターウォーズもそうだったのである。デザイナーを一新し、日本からもクリエイターを参加させ、3Dとして作り替えるのを良い言い訳にあらゆる所をリファインしまくった。勿論全体のスターウォーズサーガを意識しながらである。先のジェダイファイターは、R2ユニットの位置がファイターの中心軸線上に配置された。

ピョンピョン飛び跳ねるスカピョンは変更出来ないので、他のキャラクターで高いところのアクションを増やし、危機的状況を作り上げた。重力制御が出来る世界観なのに戦艦が傾くと滑り落ちるギャグのようなEP3冒頭エピソードも、病院船と縦方向にドッキングする船艦で暗黙的に重力制御出来る事を示唆しシーズン2ではあえてその重力制御を切る事でアクションを作っている。


まあ他にも色々書きたかったんだが次回に続く。