ACは悪くない

とんだとばっちりである。地震発生2日目あたりからほとんどのCMがAC(元:公共広告機構)の物に差し替わった。CMの質としては悪くない物だと思うが、あまりに同じ物ばかり繰り返し流されるので苦情が殺到した。
しかしACに苦情を入れるよりもテレビ局の編成に入れるべきなのではないか(そして本来広告を出稿する広告代理店に)。
何故こんな事になったのかというと放送とCMの取り決めに原因がある。
最初は、ネットワーク先の地方で別のCMを入れ込む為に、CM枠を残しているかと思っていたが、地方の知人に確認したところどこも「えーしーえーしーぽぽぽぽーん」だと言う事だ。


そうなると、昔取り決められた日本民間放送連盟で定められている放送基準が足を引っ張っているとしか考えられない。昔は、CMの総量は特段取り決めが無かった。1時間の中でどれだけCMを打つかは局側の都合で決められていた。CM枠はその時間帯で値段が変わる。ゴールデンタイムは高く、誰も見ていない時間帯は安い。だとすればゴールデンタイムに多くCMを入れれば放送局側は金銭的にメリットがあるわけだ。
ところがここに基準が出来た。


5分以内の番組で1分間、
10分以内の番組に関しては2分間
15分以内であれば2分30秒
以降5分ごとに30秒ずつ増えていき
30分以上の番組では番組放送時間の10%まで


これに加えて1週間の総放送時間の18%以内と定められている。

1時間番組で言えば6分しかCMを入れられないのだ。ところがテレビはいつでも悪知恵が働かせる。1時間番組を54分と6分に区切ると


54分番組→CM6分
6分番組→CM2分
計CM8分


と2分もCMの総量が増えるのである。実は昔は1時間番組は1時間の枠で放送していたが、この取り決めが出来てから、このような逃げ道が出来上がったのである。ミニ番組は別に視聴者に安らぎを与える為に生まれたわけではないのだ。


で、最初の問題に戻るが、本来CM枠を制限する為に作られた取り決めが今回逆に働いたのではないか。どのみちACしか放送できず、パッケージ作品(アニメなどは元々放送枠に合わせて作られているからCMの入る枠が決められている)でもなく生放送でえーしーえーしー言ってるのは、「これだけCM入れなさい」と言う取り決めの物だと。



これは私の仮説なので本当の事はテレビ局に聞いて欲しいのですがね。

  • 参考資料

AC大量CMに苦情殺到…脅迫電話も

 公共広告により啓発活動を行っている社団法人のACジャパン(旧公共広告機構)に抗議の電話が殺到していることが17日、分かった。東日本大震災の影響によって、民放テレビ各局が民間企業CMの代わりに、同法人のCMを大量放送しており「しつこい」「不快感がある」「内容がそぐわない」というクレームが集中していた。同法人の提言CMはテレビ、ラジオ、新聞社など加盟社の会費で制作。とばっちりを受けた形だけに、同法人も困惑を隠せなかった。

  ◇  ◇

 民間企業が震災の影響でCMを自粛する中、大量に放送されているACジャパンのCM。穴埋め的な役割を果たしているにもかかわらず、とんだとばっちりを受けている。

 抗議の理由としては、同じ内容のCMが流れることに対する「しつこい」、同法人CMの最後に流れる「エーシー」という高いメロディーが「不快さを感じる」、さらには子宮がんや脳卒中予防の内容に対し「こんな大変な時にがん検診なんか行けるか」といった内容があるという。

 また、同法人が国の管理下にないにもかかわらず「そんなCMを流すのに税金を使うなら、少しでも被災地に回せ」という勘違いの抗議や、中には「今から刃物を持って押しかけるぞ」という脅迫電話もかかってくるという。視聴者が勘違いしている場合は、正しい実態を説明しているが、同法人関係者は「分かってくれる人は、わずかなんです」と困惑の色を隠せなかった。

 ACジャパンは、マナーやモラル向上などといった社会啓発的なCMを年間13本制作している。その制作費は約1200社の加盟社から得られる年会費で賄っており、今回大量にCMを放送しても、テレビ局との間で金銭的なやりとりは一切発生していない。

 同法人では、抗議を受け16日付でHPに謝罪文を掲載。さらに、民放各局に、CM最後の音声部分を削除するよう、異例の要請を行った。要請を受けた各局が急きょ音声を消す作業に入り、この日から末尾のメロディーなしバージョンのCMも放送されている。

 また、災害用のCM6本の制作も決定。通常は月単位での制作期間を2、3日に短縮、来週にも新バージョンのCMを放送する。関係者は「今回の件で、悪いイメージだけひとり歩きしてしまうのが怖い。われわれの本当の姿を知ってほしい」と訴えていた。

テレビCMが「AC」だらけに その真相に迫る「AC」担当者単独インタビュー

東北地方太平洋沖地震発生を受け、14日頃よりACジャパンのCMが急増している。

この事態に、ネット上では「なぜACのCMばかりが流れているのか?」という声が多数あがっている。そこで、「モデルプレス」編集部はACジャパンに電話取材を行い、その真相に迫った。

◆ACのCMはテレビCMが空いてしまった枠を埋めるために放送されている

まずは、ACジャパンがどのような組織なのかをきちんと理解しておこう。

ACジャパンとは、広告を営利目的のためでなく、公共のために役立てようと、全国の企業から寄せられた会費で公共広告活動を行なう民間のボランティア団体である。

広告を通じて住みよい社会作りに貢献することを目的に活動を行っており、今年で創立40周年目を迎える。

ACは、マナーや社会に役立つCMなどを年間で約20本制作。そのCMはテレビ広告枠の空いている部分で放送する仕組みになっている。

◆企業がCMを一斉自粛 そして怒涛のACオンパレードへ

ACジャパンのCMが急増している理由に迫るべく、ACジャパンへ電話インタビューを行った。

担当者によると、「地震が発生したことで、クライアント様の約70%以上がCMを自粛しているとテレビ局の方から聞いています。

また、テレビ局側も空いている広告枠を埋めるために、営利目的ではないACのCMを流さざるを得ないのが現状のようです。」

◆全国から問い合わせ殺到中

「現在、全国の視聴者からCMへの問い合わせが殺到しています。」

「オンエア中のCMは、昨年7月以前にテレビ局側にお渡しているものです。私たち団体も今の震災の現状を考えると、オンエアするべきでないものが含まれていると考えています。」

「テレビ局にはすでに放送を自粛するようお願いしております」との回答が得られた。

◆励ましメッセージの新CMを制作開始

さらに、「地震対策や被災者支援、励ましのメッセージなどのCMに一刻も早く切り替えられるよう、現在新CMの制作を開始しています。」とのコメントもあった。

◆ついに謝罪文掲載

ACジャパンオフィシャルサイトでは、ついに3月16日に謝罪文が掲載された。

以下、オフィシャルサイトより

― 「東北地方太平洋沖地震」にあたってACジャパンのCM放送についてのお詫びとお知らせ

(社)ACジャパン

この度、東北地方太平洋沖地震で被災された皆様、ご関係者の皆様には謹んでお見舞い申し上げます。

現在、民放テレビ・ラジオ各局において、震災の報道の合間にACジャパンのCMが多数放送されております。

これらのCMは、ACジャパンの会員社である放送各局でACジャパンが制作した公共広告を放送していただくためにご提供し、放送局のご判断で必要と思われた場合にお使いいただく広告素材です。

未曾有の大惨事となったこの度のことを受けて、多くの企業がCMの放送を自粛され、ACジャパンのCMが放送されることになりました。これらのCMはかならずしも非常時に対応できるようには作られておりません。

そのため、視聴者の皆様に大変ご不快な思いをおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。現在、ACジャパンでは、「東北地方太平洋沖地震」で被災された方々を応援する臨時キャンペーンCMを企画・制作中でございます。

被災地の方々におかれましては、一日も早い復旧がなされますことをお祈りいたしますとともに、ACジャパンでは広告活動を通じて支援活動を続けていく所存でございます。

皆様には、何卒ご理解をいただきたくお願い申し上げます。 (原文まま)



ACのCM繰り返しに苦情で音声削除
2011.3.18 15:06
 ACジャパンは17日、民放で多数放送されているCMについて「大変不快な思いをおかけしました」と謝罪するコメントをHPに掲載した。(サンケイスポーツ

 理由や苦情件数は明かしていないが、ACのCMの最後に流れる♪エーシ〜(AC)という音声について、謝罪文で「すでに音声削除作業を始めており、耳障りさは軽減されると存じます」と触れている。大半の企業がCMを自粛する中で、各局の判断で流せるACのCMが激増し、同じCMの繰り返しに苦情が集まったとみられる。ACでは、被災者応援の臨時キャンペーンCMを新たに制作中という。

チキンレースを我慢できなくなった民放キー局>>
テレビ東京に続いてキー局が順次、通常放送に切り替えているが、この未曽有の事態にはテレビ局も真っ青。悲鳴を上げている。

「民放は地震が発生した3月11日から13日まで一切CMを入れず放映しました。14日からCMを入れましたが、それも微々たるもの。資生堂トヨタパナソニックなどの大口スポンサーはCMを放送することに違和感を覚え、自主的に放送をやめています。テレビ局にとっては本当に厳しい状況です」(関係者)

 地震特番などで放送できなかったCMの出稿料に関しては当然ながらテレビ局に返還義務が生じるという。後に代理店の手数料を差し引いた額をスポンサーに返還することになる。

 現在、ゴールデン・プライム(GP帯)では1本当たりのCMは2000万〜3000万円。全日帯なども入れると1日当たり数億円の利益が吹っ飛ぶことになる。

 震災特番の制作費もバカにならない。ヘリコプターを1台飛ばすと1日100万円かかる。ほかにスタッフの人件費、危険手当、弁当、宿泊費などは大変な金額だ。また、原発の爆発などで放射能が漏れ、記者やスタッフが被曝している可能性も出てきて、その補償を協議する必要も出てくる。ちなみに、現在のペースなら、1局あたり1カ月に数億円規模の制作費がかかる計算だ。また、追い打ちをかけているのが放送が見送られているバラエティー番組の制作費だ。OAされてもされなくてもタレントのギャラや人件費、技術費は支払わなければならない。

「特番を打ち切り、どの局が最初にバラエティーなど通常編成に戻すか腹の探り合いになっていました。視聴率やCM収入も大事だが、震災報道で視聴者の声に応えないといけないし、仮に最初に降りたら降りたらで上層部から何を言われるかわからない。まさにチキンレースみたいになっていた」(キー局編成マン)

 その結果、原発が最悪なのに、バラエティーやドラマを放送する事態。国と同じで民放も場当たりのそしりを免れない。

日刊ゲンダイ2011年3月16日掲載)